看護の道、二足の草鞋で駆け抜けた学生生活の光と影

 理学療法士として働いていた男。看護師のshinさんです。43歳での再挑戦。理学療法士として築き上げたキャリアと、新たに挑む看護師への道。二足の草鞋を履く学生生活は、想像以上の苦労と、それを上回る喜び、そして時に心折れる試練の連続でした。

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予期せぬ苦闘

世代間のギャップと自己肯定感の揺らぎ

 准看護学校の門を叩き、再び「学生」という立場に戻った私を待ち受けていたのは、思わぬ苦闘でした。クラスメイトの多くは、私よりも一回りも二回りも若い世代。彼女たちの持つ情報感度や、最新のITツールを使いこなす能力には目を見張るものがあり、正直なところ、ジェネレーションギャップを感じる場面も少なくありませんでした。例えば、グループワークで資料作成をする際、私が手書きでまとめている間に、彼女たちはあっという間にデジタルツールで完成させてしまう。そのスピード感についていけず、自分の「アナログ」さに劣等感を抱いたことも一度や二度ではありません。

また、長年の臨床経験からくる「知っている」という自負が、時には学びの妨げになることもありました。看護の基礎を学ぶ中で、既に知っている知識だと決めつけ、深く掘り下げずに聞き流してしまう。そんな傲慢さが、テストで思わぬ失点につながり、自己肯定感がぐらつくこともありました。慣れない環境、若い世代との交流、そして過去の経験との葛藤。これらは、私が学生生活で直面した、まさに「試練」と呼べるものでした。

知識の深化と新たな視点の獲得

 しかし、苦労ばかりではありませんでした。深夜まで過去問と格闘し、苦手な分野を克服するために参考書を読み漁る。そうした地道な努力が、定期テストで良い点数となって返ってきたときの喜びはひとしおでした。特に印象的だったのは、疾患の知識が点と点とで繋がっていく感覚です。理学療法士として患者さんの身体機能を評価する視点に加え、看護師として全身状態を包括的に捉える視点が加わることで、これまで見えてこなかった患者さんの全体像が、より鮮明に浮かび上がってくるのです。

 看護師は、まさに「記録のプロ」でもあります。患者さんの状態を把握する上で、血液データや検査結果といった客観的な情報だけでなく、その方の言動、行動、表情、そして病室の雰囲気といった些細な変化にまで目を向け、五感をフル活用して情報を得ていきます。そして、これらの膨大な情報を単に羅列するのではなく、SOAP形式(Subjective: 主観的情報、Objective: 客観的情報、Assessment: 評価、Plan: 計画)という体系的なフレームワークを用いて記録していくのです。この記録によって、患者さんの状態変化を時系列で追いやすくなり、医師や他の医療専門職との情報共有が円滑に進み、結果として質の高いチーム医療を徹底できることを学びました。観察力と表現力が、看護師にとってどれほど重要であるかを痛感した瞬間でした。

 そして、臨地実習で患者さんと向き合う中で得られる「ありがとう」の言葉は、何よりも私の心を温かくしました。知識や技術が未熟な私でも、患者さんの不安に寄り添い、少しでも痛みを和らげることができたとき、この道に進んで本当によかったと心から感じました。若いクラスメイトたちと、互いに励まし合い、時には夜遅くまで勉強を教え合う中で芽生えた友情も、私の学生生活を彩るかけがえのない「喜び」となりました。彼ら彼女らの素直さや、学ぶことへの貪欲な姿勢は、私自身にも良い刺激を与えてくれたのです。

挑戦が生み出す成長

 学生生活を通して、私は多くのことを学びました。看護の専門知識はもちろんのこと、時間の使い方、効率的な学習方法、そして何よりも、年齢や経験に関わらず、人は常に成長し続けられるということを。時には挫折しそうになりながらも、目標に向かってひたむきに努力する中で、私は「もう一人の自分」と出会うことができたように思います。それは、未知の分野に飛び込むことを恐れず、困難に立ち向かう強さを持った自分です。

    まとめ

     43歳で看護師の資格取得に挑んだ道のりは、決して平坦ではありませんでした。しかし、このダブルライセンスという挑戦は、私に多くのメリットをもたらしてくれました。

    まず、医療全体を多角的に捉える視点が養われたことです。理学療法士として培った身体機能回復の専門知識に加え、看護師として患者さんの全身状態や精神面までを包括的に捉える視点を得たことで、より深く、そして幅広く患者さんを理解できるようになりました。これは、疾患の背景にある生活や心情までを見通す力となり、リハビリテーションの質向上にも直結しています。

    次に、チーム医療における貢献度の向上です。看護師の視点を持つことで、医師や他のコメディカルとの連携がよりスムーズになりました。看護記録の重要性や、SOAP形式での情報共有の意義を深く理解したことで、タイムリーかつ的確な情報提供が可能となり、結果として患者さんへのより質の高い医療提供に貢献できると実感しています。理学療法士としてリハビリテーションの計画を立てる際も、看護師の視点を取り入れることで、より患者さんの全体像に即したアプローチが可能になります。

    そして何より、自身のキャリアの可能性が大きく広がったことです。訪問看護ステーションにおける理学療法士の立場が変化する中で、このダブルライセンスは、私自身の専門性と市場価値を高める大きな武器となりました。学び続けることの重要性を改めて認識し、年齢に関わらず新たな分野に挑戦できる自信を得ました。

    理学療法士と看護師、それぞれの専門性を掛け合わせることで、患者さん一人ひとりに寄り添い、多角的な視点から最善のケアを提供できる。このダブルライセンスは、私にとって、まさに地域医療に貢献するための新たな扉を開いてくれたと感じています。これからも学び続け、この経験を活かし、より多くの人々の健康と生活を支えていきたい思います。

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